木曽の山々~山が生み出す景勝

Chapter 1

木曽八景
山のもたらす自然美

「御嶽の暮雪」と「駒ヶ岳の夕照」

木曽の山がもたらしたものは多くありますが、私たちを楽しませてくれる雄大な景勝は特筆すべきものがあります。
中でも自然美に優れる名所は「木曽八景」として、江戸時代寛保3年(1743)頃、近江八景になぞられ選ばれています。
今回はその一つ、「寝覚の夜雨」として讃えられた寝覚の床を訪れました。
>木曽八景について詳細を知る

木曽八景で選ばれた景色の中には、特に山そのものの美しさが評価されたものとして「御嶽の暮雪」と「駒ヶ岳の夕照」があります。美しさに秀でたこの二つの山についても合わせてご紹介します。

Chapter 2

御嶽山

御嶽山

木曽八景で御嶽山は「志なのちや むかはぬ不二の おもかげを ここぞみたけの ゆきの夕はえ」と詠まれ、初夏の頃の残雪が薄紫色の山肌に美しい模様を描くさまが讃えられています。 また古くより富士山、白山、立山、大山などと共に信仰の山としても親しまれてきました。
御嶽山を開いた覚明と普寛は、死後の安住の地を御嶽山と定め、霊魂は御嶽に帰すると歌い残しています。

御嶽山

御嶽山は木曽の西部、岐阜県と長野県にまたがる霊峰で、最高峰の剣ヶ峰(3067m)をはじめ、継母岳、摩利支天山、継子岳の各ピークを連ねています。雪解けとともに現れる美しい高山植物の花畑や、裾野に広がる木曽ヒノキの美林などに覆われた荘厳な山容を誇ります。
その雄大な眺望で登山者にも人気の御嶽山ですが、2014年の噴火以降入山禁止区域に設定されている箇所があり、頂上の剣ヶ峰まで行ける期間が決められています(2021年現在)。
登山をされる場合は必ず下記のリンク先等で最新情報をご確認いただき、無理のない計画で安全な登山をお楽しみください。
>木曽御嶽登山ガイドマップを請求する
>木曽御嶽山安全対策情報(長野県地域振興局)のWebサイトを見る

Chapter 3

駒ヶ岳

駒ヶ岳

駒ヶ岳は、木曽八景にて「おしめ人 入日を山の 名にしおふ ひきゆく駒の すくる光を」と詠まれ、白雪の駒ヶ岳連邦が夕日に映えて赤紫色に照り輝く様子を評されています。
木曽駒ヶ岳は中央アルプスの主峰(2956m)、天気が良ければ御嶽山や、乗鞍岳などの北アルプス、八ヶ岳などの南アルプスまで見渡せ、富士山も見ることができます。木曽側からの登山口は4コース、木曽町のキビオ峠登山口は国道19号、伊谷交差点より車で20分ほどで駐車場に着きます。駐車場は10台と限りがあります。そこから登山口までは1分ほど、駒ヶ岳山頂までは6時間30分ほどかかります。
中央アルプスは他にも南木曽岳や空木岳など美しい山々があります。パンフレットもございますのでお問い合わせください。
>中央アルプス登山ガイドマップを請求する

Chapter 4

寝覚の床

寝覚の床

寝覚の床は、「七とせの あとおや おもうたれか又 ねさめの床の 雨のよすがら」…梅雨の頃の落ち着いた趣のあるしぐれる様が好まれ木曽八景に選ばれました。
自然美に優れ、奇岩の織り成す渓谷美で名高くその絶景を称賛する数々の歌が詠まれていますが、中でも松尾芭蕉の「ひる顔に ひる寝せふもの床の山」の歌は御存じの方も多いのではないでしょうか。
>日本遺産「寝覚の床」を読む

また、お伽話の浦島太郎に出てくる舞台としても知られています。木曽の浦島伝説では、竜宮城から帰ってきた時に目覚めた場所が寝覚の床で、名前もその伝説にちなんで付けられたと言われています。

寝覚の床

川によって長い年月をかけて削られた花崗岩の川床の周りに、まるで神々に散らかされたかのように丸い巨大な岩がゴロゴロと折り重なっています。巨石の向こうの花崗岩の厚板の上に、いったいどうやって建てたのだろう?と思わされる小さい神社がありました。どうしても近くで見たくなって、大きい岩を登って神社まで探検しました。

神社から眼下を見渡すと、どこまでも続く碧緑の川を縁取るように白く輝く花崗岩の連なりと、その向こうに鎮座する山々の深緑の雄大な景色が広がっています。神秘的な雰囲気と自然を体感し、深くリラックスすることができました。

寝覚の床
寝覚の床